絶対やせて貰います。

弁当が取り持つ縁?


和田さんのお店に着いた時には多少腫れぼったい瞼もご愛嬌くらいに落ち着いていた。(マリアさんのお蔭で)

「こいちゃん。急に悪かったね……」

和田さんは私の顔を見て一瞬ギョッとしたようにも見えたけど……

「いえ……大丈夫です」

それは見なかった振りで誤魔化した。

何でも14~15名様の予約が2件も同日に入ってしたところに体調不良で休みたいとバイトの子から連絡があって焦ってしまったと和田さん。

「こぢんまりとした店に団体客が二組とか滅多にないからさ、ホント助かったよ」

「お役に立つように頑張ります」

両腕に力こぶを作って元気よく宣言すると和田さんは安心したように微笑んでくれた。

私も自宅に帰って鬱々と考え込むよりも体を使って動き回っている方が自分にとっても都合が良かったから『こちらこそ助かります、和田さん』声にこそ出さなかったけれど、心の中で和田さんにお礼を言った。

一組の団体さんは会社の同期の人たちの集まりらしく、

私より少しだけ先輩って感じにしか見えないから……お店の客層からすると相当お若い印象。

きっとどなたかの紹介でこの店に決めたのだろうと予測した。

お酒も入り盛り上がりを見せるなか料理の評判も上々

「これ美味しーい」

「こっちも食べてみてー」

「今度家で作ってみようかな?」

そんな感想が聞こえてくると私も嬉しくなる。

こちらのお客様は人数と予算が初めから決まっていて料理は和田さんに
『おまかせ』だとか。

どんな料理が出て来るのか?

分からないのも楽しいみたいで料理を運ぶ度に質問攻めに合うから
そこは気が抜けない。

使っている素材や料理法をしっかり頭に入れて配膳していく。


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