絶対やせて貰います。

喜ばしいお祝いの席なのに……

坂口さんへの嫉妬で心の中は真っ黒でドロドロに渦を巻いている……でもそんな自分が一番嫌で自己嫌悪におちいり、負のループの完成。

アルコールが苦手な私は飲まないつもりでソフトドリンクしか注文していなかった、でも今日だけは飲まずには居られない。

「私にもお酒ちょうだい」

飛鳥ちゃんがまわし掛けていた、誰のだか分からないカクテルらしい物を半ば強引に受け取る。

グラスの半分程を呷る様にして飲み「あぁー俺の酒」後藤君が嘆いていたのは聞かなかったことにした。

それから何杯目かのグラスに口を付ける直前に「こい。もう、やめな」

飛鳥ちゃんが心配そうにグラスに手をかざしストップを掛けるのに「平気だよ」フニャリと作り笑いをして無謀にもグラスを傾けたのは目の前の光景も少なからず影響している。

体を近付け合って親密そうに会話を楽しんでいる旭君と坂口さん。

それよりなお一層と旭君に近付く坂口さん。

旭君の右肩にしな垂れ掛かるように体を寄せ耳元には手を添えている。まるで他の人には聞かれたくない言葉を囁いているように見えるしぐさだった。

『ヤダ。そんなにくっ付かないで……』

ガタッといきなり立ち上がったら、急激に酔いが回ってフラフラとふら付き大きく揺れる体。

「こい。大丈夫?」飛鳥ちゃんは心配そうに、私の体を支えながら訊いてくれるけど……

飲み慣れないお酒を体は受け付けてはくれないらしい。

「飛鳥ちゃ……きもじわる……」完全に体を飛鳥ちゃんに預けた私の記憶はここで途切れてしまった。



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