絶対やせて貰います。

「飛鳥ちゃん……酔った私を連れ帰るの大変だったよね?迷惑かけてごめんね」

昨夜の失態をおぼろげながらも思い出した私はしゅんと項垂れて反省する。

「私はそんなに大変なことも無かったかな?大変だったのは私じゃなくて……
小岩井旭の方なんだよね」

返事が意外過ぎて驚きに顔を上げた私は飛鳥ちゃんと真正面から向き会った。

困惑したような表情を浮かべながら飛鳥ちゃんが話した内容は私の予想の範疇を超えていたのだから……

吐くだけ吐いてやっとトイレから連れ出すことが出来た私をこんなに酔ったままの状態で家には帰せないと飛鳥ちゃんの部屋に泊まる事が決まったらしい。

タクシーを呼んで貰い飛鳥ちゃんとカンナちゃんとで連れ出そうとしているところに現れたのが旭君だった。

「上杉さん……違った吉川さんが連れ帰ったと知ったら翌日こいちゃんが落ち込む筈だから俺が送る。タクシーに乗って気分が悪くなったら大変だから俺が負ぶって行く」そう言ってくれたらしい。

ただ歩くだけの10分間と意識の無い大人を一人おんぶした状態の10分間がどんなに大変なことかは想像に難くない。

それだけでも十分過ぎる程に落ち込むのに私が無意識で口にした言葉があらぬ誤解を招いていたとは……



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