絶対やせて貰います。
「こいちゃん。大丈夫なの?」普段と変わらず優しい弟が私の体調を気遣ってくれている。
頭が如何にかしたのでなければ……確か今頃飛鳥ちゃんの彼と初対面をしている筈だ。
そこに現れたのが私の弟という事は?
「えっーーーー。そう言うこと?」自分の大声が頭に響き痛みが益々酷くなる。
痛みに顔をしかめる私を気遣ってカサっとコンビニの袋から取り出したモノを手渡される。
それは二日酔いの薬だった。
「じゅー君にお使いと迎えをお願いしたの。こい早く飲んで……」
飛鳥ちゃんは常備している痛み止めの錠剤を2錠渡してくれながら説明してくれるけど、私はその時全く違うことを考えていた……
『へぇー飛鳥ちゃんは“ことちゃん”を“じゅー君”って呼んでるんだぁー“寿三郎”なんだから“じゅー君”でよかったのになんで“ことちゃん”ってあだ名にしたのお母さん?』
私がショックで呆けてしまったとでも心配したのか?飛鳥ちゃんに顔の前でひらひらと手を振られている。
「ごめん。大丈夫だから……」
確かに親友と弟が知らぬ間に付き合っているのは少なからずショックを受けはしたけど、大好きな二人だから上手くいって欲しいと心から思う。
「ホントは昨日こいとカンナに報告するつもりだった……でもカンナの入籍の件があったし、こいは酔っちゃうし、それどころじゃなくて……」
飛鳥ちゃんの報告のタイミングまでも奪ってしまった私の失態。
「飛鳥ちゃん。二人の話は今度ゆっくり聞かせて貰ってもいい?ことちゃん来て直ぐで悪いけど家に連れてって欲しい。ごめんね……」
「そうだね……」
そう言う他ない飛鳥ちゃんの返事を聞いて直ぐに、散々迷惑を掛けたくせに恩知らずな私は身支度もそこそこで弟の運転する車に乗り込んで帰宅した。