絶対やせて貰います。
何とも言えないやるせなさから哀愁を滲ませる父に旭君が声を掛ける。
「木村さんは強面の男兄弟が4人も居ると聞いています。こと君とお義父さんのお二人で大丈夫ですか?」
旭君の言葉に父の表情が明らかに引き攣っているのが見て取れる。
「もし、あちらさんに殴られたとしても仕方ない。息子はそれくらいのことを仕出かしたのだから……」そうは言っても息子の身を案じているのが手に取るように分かってしまう。
「……あの。俺で良かったらご一緒しましょうか?」旭君の提案に父の表情がパァーと明るくなった。
「一緒に行ってくれるのか?」期待を込めた表情で旭君の顔を見つめる父。
「もちろん。あっ……でも向こうに俺、なんて自己紹介したらいいですかね?」
そうだよね。『姉の恋人が何しゃしゃり出て来てんだ』って木村家の心象が悪くなる場合だってあるもの。