絶対やせて貰います。
次は私と旭君の番だ。
キスするのは全然構わないけど……
私と旭君の40cmの身長差が問題だ。
旭君にカッコ悪いくらい屈んで貰わないと私がいくら背伸びをしたとしても、
あの魅惑的な唇には届ない。
罪なキスコールに軽いめまいを起こしそうになった途端、体がふわっと浮き上がる。
旭君にお姫様抱っこをされたままの格好で、私は旭君とキスを交わす。
「まるで本物の王子様みたいね」
会場内から聞こえてきた囁き声に『旭君にカッコ悪い思いをさせなくて良かったー』ホッと胸を撫で下ろしていた。
退場を促す音楽が鳴り響くも今だ冷めやらぬ歓声の中、
抱かれたままで会場を後にしながら、こっそりと旭君の耳元で囁く。
「願いが叶っちゃった。意識がある時にお姫様抱っこして貰えたー」と言えば
「いつでもどうぞー」と言ってくれる私の優しい旦那様。
「こいちゃんの美味しいごはんを毎日食べてたら、また太っちゃうかもね?」
最近私たちの間で毎回交わされるお約束の言葉に思わず微笑みが零れる。
もちろんさっきの宣誓通り、痩せている旭君も太っている旭君もどちらの旭君も同じように愛し続けます。
……でも私は毎回真顔で言うの。
「その時は……絶対痩せて貰います」って……
(おわり)