絶対やせて貰います。
SS花嫁控え室にて……
飛鳥ちゃんとカンナちゃんの花嫁姿が素敵過ぎて、羨望のあまりに落ち込んでいた私だったけど……
飛鳥ちゃんの言葉と「こいちゃん。カワイイーー」心からそう言ってくれる旭君のお蔭で笑顔を取り戻すことができた。
皆で和やかに写真撮影をしていると花嫁控え室に突然姿を現したのは坂口さんと後藤君。
入って来るなり……
「あら。今日は結婚式って聞いてましたけど……七五三の間違いでした?」
テディベアのぬいぐるみを胸に抱く花嫁姿の私のみに照準を合わせて毒を吐く坂口さん。
「・・・・・」あまりのことに呆気に取られていると、
「千歳飴持ってきましょうか?」更に畳み掛け、ふふっと悪い笑顔を零す。
結婚式にはタブーとされているホワイト系のワンピースを堂々と着こなす坂口さんは、本日も全く隙が見つからないパーフェクトな美しさだ。
「今日は結婚式場パンフのモデルもされるとか……錦野さんで大丈夫?」
「あなた面白い娘(こ)ね……七五三には笑わせてもらったわよ」陽菜さんはゲラゲラ笑って、この状況を面白がっている。
「モデルなら私と小岩井君の方が良くありません?」坂口さんは旭君の腕に手を回しかけピッタリと寄り添うように立ち、皆に私とのビジュアルの差をまざまざと見せつけ悦に入っている。
旭君の眉間に皺が寄り口を開きかけたのが分かり、無言で首を振り制止する。
これから結婚式が始まるのに、ここで言い争ってケチを付けたく無なかったから……
優しい旭君は私の思いを汲んでくれたのか、何も言わずに堪えてくれた。
「確かにそうねー」両手の人差し指と親指でフレームを作り、そこから旭君と坂口さんを覗き込んだ陽菜さんが同意の言葉を呟く。
それを聞いた坂口さんはプロのヘアメイクさんに賛同して貰ったことに喜んで「ほらね」と片眉を上げて自慢げに微笑んだ。