絶対やせて貰います。
その後、何故か爆笑の渦に包まれる室内。
「ハハッ……後藤と坂口さんがもし結婚でもしたら、俺たちも長い付き合いになるのか?」そう言って笑っているのは遼君。
「嫌味なとこあるけど……詰めが甘いって言うか、何だか憎めないキャラよね?」ふふっと笑うカンナちゃん。
さすがは黒い羽の“大家(たいか)“は坂口さんの言うことなんて可愛いもんだって事なのだろう。
これで不穏な空気は払拭されて、清々しい気持ちで式に臨むことが出来る。
「あの……陽菜さん。ありがとうございます」全ては陽菜さんが機転を利かせてくれたお蔭だ。
「あら。こんなに可愛くしてあげたのに今頃お礼?」すっ呆けた陽菜さんはウインクして私のお礼をかわし素知らぬ振りをする。
陽菜さん(中井陽輔さん)はとても優しくて、温かな素敵な人です。
「さあ。みんな出てー楽しんでらっしゃい」と送り出される。
花嫁&花婿が一組、二組と出て行くのに続こうとしたら旭君に腕を引っ張られて引き止められる。
私の耳元まで屈んだ旭君が誰にも聞こえない様に囁いたのは「こいちゃんが一番綺麗だよ」って言葉。
目を回し、嬉しく思いながらも少し心配になる……
旭君がもし“私が一番綺麗に見える”そんな奇病に掛かっているのなら……
ずっとそのままで完治しないで欲しい。
これから私が付きっ切りで看病してあげるから……
「こいちゃん。行こう」
私の手を握る大きくて優しい手に包み込まれながら、少し早足で二組のカップルを追いかけて会場へ向かった