絶対やせて貰います。

ある日、ラッピングをした小袋を両手一杯にして落ち込んでいる私に遼が声を掛けてきた。

「カンナどうした?」

心配そうな遼の顔を見つめながらも思考は彷徨い途方に暮れる。

「遼の言う通りだったよ。私に友達はいなかった……」

初対面の日に言われたことは真実だった……

そう遼に告げるのは本当に情けなくて、悲しくて直ぐに言葉は出てこない。

「それ。どういう意味?」

「それは……」

遼が美味しいと言ったクッキーをクラスで仲良くしている3人の友達にも食べて貰いたくて、麻紀さんに手伝って貰いながら可愛くラッピングして学校に持って行った。

こっそりと3人に渡し終えた私は喜んで貰えていると思い込み浮き足立っていたはず……

ところがその直後に足元をすくわれる出来事に直面することになる。

どんなに仲良しの友達でも一緒に連れだってトイレに行く習慣の無かった私は、女子トイレの中でどんな会話が繰り広げられているのか今まで全く知らずに生きていた。

その会話を耳にしたのも唯の偶然、先にトイレに入って居たから耳にしたに過ぎない。

誰と誰が会話しているのかは話し声だけでも分かる、私のことを蔑むような言い方をしている人を“友達”だと思っていたなんて全く信じられなかった。



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