絶対やせて貰います。
おばさまと遼が部屋を出ていてからもう随分経つ。
美味しく入れてくれた筈の温かった紅茶は誰にも飲まれること無く冷たくなってしまった。
それから暫くして部屋に入ってきた遼は、今まで一度も見たことがない憂いに満ちた表情をしている。
その表情が衝撃的で二人でどんな話し合いがされたのか、気になって仕方がないのに直ぐに口を開くことが出来ない。
「カンナ……今日はもう勉強する気分じゃないから送ってく」
遼の言葉には賛成だけど、何も送って貰うこともない、電話をすれば誰かが迎えに来てくれるから……
「大丈夫だよ。家に電話するから……」そう言ったのに……
「今日が最後だから……家まで送ってく……」私から目を逸らし遼は玄関に向かって歩き出した。
「今日が最後って……どういう意味?」慌てて遼を追いかけ問いただす前におばさまが現れて
「カンナちゃん気を付けて帰ってね」おばさまも辛そうな表情で見送ってくれるけど私は訳が分からなくてパニック寸前だった。
挨拶の言葉を発する事も出来なくて深々とお辞儀をすると遼の背中に追いつくために急いで靴を履き玄関を飛び出した。