絶対やせて貰います。
「待って……遼」
送って行くと言う割には長いストライドで一人ずんずんと歩みを進める遼に後ろから声をかける。
私の声に我に返ったようにピタリと立ち止まると「ごめん」素直に謝られても何もかもがいつもと違い過ぎて、こっちは調子が狂いっぱなしの置いてけぼり。
「ねえ。さっきのことは唯の事故だって、ちゃんとおばさまに説明してくれた?」
ハァハァ荒い息を吐きながらやっと追いついた私の問い掛けにも素っ気なく
「あぁ……」と短い返事をしてまた歩き出してしまう。
「今日が最後って……なに?」
冷静に話し合いたいのに、遼の後ろ姿に問いかけるのにも段々と腹が立ってくる。
又しても歩みを止めてゆっくりと振り返り、迷いが晴れたような表情をした遼と私が向き合うことになったのは、奇しくも道案内の通訳をするために二人で立ち止まった場所だった。
「俺……さっきこの場所でウソを吐いた」
「・・・・・」
思い詰めた顔でそんなことを言われても全く意味が分からなくて遼の話を黙って聞いているしか私には術がない。
「おじさんにカンナのこと友達、親友だって言ったけど……俺もうだいぶ前からカンナを親友だと思ってない」
遼の言葉の持つ破壊力が凄まじくて呼吸することさえ忘れてしまい胸がとても苦しい、安泰だった足元が突然崩れ去り真っ逆さまに奈落の底に落ちていくように感じた。