絶対やせて貰います。

どうやって家に帰り着いたのか覚えていないのに、気が付けば自分の部屋の中に居てベッドに横たわっている。

僅かな時間の中で……

『親友と思っていない』と言われ奈落の底に突き落とされ、

『カンナが好きだよ』と告白されふわふわと舞い上がり、

『二人で会うのは今日で最後にしよう』と言われ恋心の行き場を失う羽目になった。

地獄→天国→地獄の弾丸ツアーで体力を消耗した私は、瞼を腫らせたまま
泣き疲れて眠りに付いた。

翌日。

ガンガンと響く頭の痛みと腫れぼったくて開かない瞼を無理やり見開いて起き上がる。

もし、父が社長じゃなかったら……とか

もし、おばさまにあの場面を見られていなかったら……とか

考えなかった訳じゃないけど……

それでも現実的でない事柄をどんなに推し量ってみても現状は何も変わらない。

だから私は無駄な涙はもう流さないと心に決めた……

遼を嫌いになれないなら好きなままでいようと。

時間が経てばこの恋心も自然に昇華することだってあるし、別の人に出会いその人のことを段々と好きになることだってあるかも知れない。

だから遼のことはあまり考えない様にして今、私に出来る精一杯のことで毎日を埋め尽くそう……

そんな決意を心に誓った15歳の春。



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