絶対やせて貰います。

翌年。

私は公立の進学校に受験して入学が決まった。

この高校に進学を決めたのは遼が受験すると言っていたからに他ならないけど、
もちろんあの日から遼とは一度も連絡は取っていない。

だから入学式の日に校庭で偶然すれ違った私を見かけた時の遼の表情が忘れられない。

まるで幽霊でも見たみたいに真っ青な顔で唖然としていたから。

同じクラスにはなれなかったけど校内で遼の姿を見かけることは度々あった。

ある日の放課後。

体育教官室に届け物をして欲しいと頼まれて体育館へと向かった……

バレー部とバスケット部が体育館のコートをシェアーして練習をしているのが見え、自然と視線はある人の姿を捉える。

どうも先輩から指導を受けているところらしい。

私の視線を感じたのか遼が私に視線を向けると

「俺の指導は必要ないか?余裕だな吉川。今直ぐグラウンド10週してこい」

先輩の激しい洗礼を受ける遼を目の当たりにして以来、私は放課後の体育館には近付かないことにした。



< 287 / 305 >

この作品をシェア

pagetop