絶対やせて貰います。

「本物のお嬢様を初めて見たー」

「それってどういう意味?」

声のした方に向ってキッと睨みを利かせながらそう言いた視線の先には……

瞳をキラキラと輝かせ羨望の眼差しで私を見ている、邪気など微塵も感じられない小っちゃくてぽっちゃりとした笑顔のキュートな子が立っていたから呆気にとられ毒気を抜かれてしまった。

「うちの曾おばあちゃんが……」

「曾おばあちゃん?」

彼女の曾おばあちゃんと私が本物のお嬢様と言われたことにどんな因果関係があるのか全くの謎だったけど、彼女がその理由を教えてくれるらしい。

「テレビで凄いセレブのお宅拝見みたいな番組を見てる時に曾おばあちゃんが言ってたの『米一つ研げない。何も出来ない娘のどこがお嬢様だ、赤ん坊と一緒じゃないか』って……

『こい。あんなのは唯の成金の娘でお嬢様なんかじゃないよ、本物のお嬢様は本当は何でも出来るんだ……』って

それから周りへの心配りを忘れない人が本物のお嬢様だって曾おばあちゃんが言ってたの……」

にっこり微笑みながら解説をしてくれたこの子の名前は錦野鯉子。

その後、親友の一人となる大切な存在……

彼女と初めて交わした会話はこんな感じだった。

こいの曾おばあちゃん公認のお嬢様になれたのは遼のお蔭だ。

小5の時に遼の言葉がなかったら、私はこいの曾おばあちゃんの言う”成金の娘”
そのモノだったから……



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