絶対やせて貰います。

私と遼は高校の3年間一度も同じクラスになることはなかったけど、高3になると遼と”こい”と飛鳥の3人は同じクラスになった。

『私と遼には何か事情がある』

こいと飛鳥にそう思われていると感じることは度々あった。

二人には本当に申し訳ない、そう思いながらも遼との関係は一度も話したことはない。

私は今でも遼を見つけては盗み見てしまう……

視線を感じたのか?

遼が私を見ているなと感じた時は視線を逸らす。

そんな感じで日々を過ごしていたらお互いの視線が交わることは殆どない。

中3の失恋から3年も経つのに恋心が思い出に変わる気配は微塵もなくて、傷ついたままのハートはいまだに膿んでいるみたいにジュクジュクと時より痛みを訴えかけてくる。

それはあるお昼休みのことだった。

「おい、大弁(だいべん)トリオ、今日も男子顔負けのデカ弁だな……」

遼はお昼休みになると必ずと言って良い程『こい』に絡んでくるのが日課のようになっていた。

「どすこい……これ食べていい?」

こいが返事をする前に、こいの弁当箱からエビフライを摘みパクリと美味しそうに頬張る遼。

「……あっ!……」

こいは声を上げて唖然とその様子を見つめている。

「遼……お昼時間に妙なトリオ名で呼ぶなと何度言ったら分かるのかな?

こいを『どすこい』って呼ぶなって優しく教えてあげたよね?」

丁寧な言葉でそう諭す飛鳥は、言葉とは裏腹に強烈な足蹴りを遼のお尻にお見舞いする。

「痛ってーー」

そう声を上げお尻を擦りながらも楽しそうに笑っている遼。

お箸を握る手にギュッと力が入る。

いつも私だけが部外者のように彼らの様子を黙って眺めていた。


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