絶対やせて貰います。

彼女の名前は辺見さやか。

少し前のこと……彼女が遼に告白して振られたらしいと偶然耳にしたばかり。

自分よりもかなり太っている”こい”と思いを寄せる遼が楽しげにしている姿に嫉妬して思わず口走ってしまったのかも知れないけど、彼女の中傷は許容範囲を遙かに超えていた。

理不尽な嫉妬心をこいに抱いた私も同罪かも知れないけど、皆の前で言葉の暴力を受ける親友を黙って見過ごすことはどうしても出来ない。

「誰がどう見たってアイツが『こい』に絡んでるって分かるのに色目使ってるとか

バカじゃないの?

『こい』はいっぱい食べるからここまで成長してるの

私もあすかもどんなに食べても全然太れなくて~

そんな小っちゃいお弁当でどうしたらそんなに大きく成長するのか不思議

その秘訣教えてくれる?」

彼女が太目な体型を気にしているのを以前から知っていた私は「目には目を……」と一番痛いところを突いて彼女を攻撃する。

私の仕返しは内なる怒りをぶつける対象が欲しかっただけの八つ当たりに過ぎなくて、胸がスッとするどころか悔恨の思いで胸が痛くなる。

怒れる私に怯えるこいの写真を撮り、ダイエットを始めるよう強制して無理やりサポートを買って出たのも贖罪の思いがあったからだ。

そんな私的な理由で『こいのダイエット作戦』は始まったのだった……



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