絶対やせて貰います。

翌日に“こい”から連絡があって冷蔵庫に貼っておいた『例の御札』、今より20kgも太っていた頃の写真を見られデブは嫌いだと振られたと聞いた時には“こい”には申し訳ないけど、あんな奴と別れて良かったと正直ホッとしていた。

直ぐに飛鳥を含めた三人で会う段取りを付けて向かった居酒屋で高校の同級生と思わぬ再会をすることになる。

思わず声を上げて驚いたのは小岩井旭の変わりようで、高校時代とは別人みたいに太っていて同一人物とは全く思えなかった。

貧血で倒れた時にお姫様抱っこで搬送してくれた恩を返したとダイエット指南役に名乗りを上げた“こい”を後押したのは毎日忙しくしていれば失恋の痛みを直ぐに忘れることが出来るんじゃないかと思ってのこと……

小岩井旭と“こい”が帰った後は合コンが失敗に終わった残念な男たちだけがその場に残り項垂れていた。

私と飛鳥が少しだけ愚痴に付き合うと元気になった男たち……次回の合コン対策でとても盛り上がっている。

暫くして居酒屋を出て飛鳥のマンションに向った私は久しぶりに飛鳥の部屋に泊めて貰うつもりでいたのに……

「こいが気にするから言わなかったけど……実は明日、休日出勤なんだよね」って飛鳥は残念そうに話す。

社会人として独り立ちしている飛鳥と大学生の私とはやっぱり違うなってどこか寂しく思うけど、相変わらず優しくて付き合いの良い”できた”親友を得られた幸せにとても感謝していた。

「今日は急に連絡してごめん。帰るね」って私が言うと

「朝は早いけど良かったら泊まって……」と飛鳥。

「やっぱり……今日は帰る。またね飛鳥」挨拶してマンションの前で飛鳥と別れた。

少し歩けばタクシー乗り場があったなと早足で向かいかけた時「カンナ」私を呼ぶ声がして振り返ると遼がこちらにやって来るのが見える。



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