絶対やせて貰います。

「何で……」此処にいるの?

そう言いたいのに実際に出てきた言葉は何でだけ……

遼から名前を呼ばれたのも6年振りだ。

今さら私に何の用があるのか分からないし、どうしたらいいのか見当もつかなくて立ち止まることなくタクシー乗り場に向って再び歩き出した。

「待てって……送ってく」そう言われても意味が分からないし、足も止まらない。

「大丈夫。一人で帰れるから後藤君たちと飲み直せば?」確か後藤君たちと別の店に行くと話していた筈だ。

「そっちは断ってきた。だから家まで送る」なかなか引き下がらない遼に困惑してしまう。

「誰かに見られて彼女に知られたら困るでしょ?本当に大丈夫だから……」そう言ったのに……

「そのことだったら心配ない。彼女とは別れた……っていうか振られた」そんな話をされても困ってしまう。

「それは残念だったわね。まぁー私には関係ないけど……」『ふーん。彼女と別れたの……』そう心で思っても素っ気ない返事になるのは勘弁して欲しい。

「ブハッー。ひでーな……」

楽しそうに笑っている遼を見ていると6年前にタイムスリップしたのかと錯覚しそうになるけど……

私も遼も6年分確実に成長していて中学3年だった頃とは顔も身体つきもかなり変わっている。それだから余計に今までの6年間が一体何だったのかと困惑してしまうのだ。


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