絶対やせて貰います。
女子更衣室のある体育館に向かい歩いていたら、向こう側から『小岩井君』が友人たちとこちら側にやって来るのが見えた。
美術室で彼のことを認識して以来私は体のどこかに”小岩井センサー”があるかの如く……どこに居ても彼のことを見つけてしまう。
それはもう何で今まで視界に入ってこなかったのか不思議になるくらいに……
そしてもう一つ特別な”アンテナ”まで作動する。
「「きゃぁぁぁーーー小岩井先輩、今日もカッコイイーーー」」
周りで彼の様子を窺い見る女の子たちの黄色い声を拾ってしまうのだ。
『うんうん、分かるカッコイイよねーーーでもアレ?
今日の小岩井君、顔色悪くない?
黄色っぽく見えるんだけど……
えっ?お友達の顔も黄色いなぁー
アレアレ?
今度は黒くなったよ……』
ガクンと膝が折れるように感じた後はスローモーションで地面が近付いて来る。
「あっ飛鳥ちゃん……なんか変……」
何とかその言葉だけは口にできた私。
隣を歩く飛鳥ちゃんの腕に縋り付いたままの状態で意識を手放したのだった。