絶対やせて貰います。

私がこの大学に進学を決めたのも将来は父の会社で働くつもりでいたからだ『出来るだけ沢山のことを学び、知識を身につけ微力でも会社の為に尽力する』それを目標に頑張ってきた。

ダイエットの指南役とアルバイトで忙しい“こい”とは大学以外で会う時間は極端に減ってしまい少し寂しくはあったけど、その分就職試験に向けて私なりに研鑽を積む日々を過ごしていて、その一つが中学の頃から続けている英会話。

あの別れの日……流暢な英語を話す遼に感化されたのが切っ掛けだ。

英会話スクールに通い始めて7年目。

時よりお願いする英語の家庭教師、個人レッスンのお蔭もあって日常の会話なら困らないぐらいにはなっているけど仕事で通用するかは全く別の話。

大学4年になった私は新たにビジネス英会話のコースも追加して来たる日に備えた。

それなのに……

出張で日本国内や海外を飛び回り、ゆっくりと顔を合わせる機会も殆どない父と今後の進路について話し合った時、父の思いを聞いた私は口をあんぐりと開けたまま唖然とすることになる。

私が会社に入ることを喜んでくれると思っていたのに父の返事は……

「親のコネで入社できるほど我が社は甘くないぞ……カンナが本気なら私の名前を出さずに就職試験を受けて堂々と入社して来なさい」

そう話した父は私の良く知って父ではなくて、会社のトップ……代表取締役社長の顔をしていた。

「私としては……カンナに将来有望な若者と結婚して会社を継いで貰いたいと考えている。就職試験に落ちたらお見合いしてみないか?」

“ガーン”父の言うことも頭では理解ができる……でも私が娘じゃなくて息子だったら父の対応も違ったものになった筈だ。


< 300 / 305 >

この作品をシェア

pagetop