絶対やせて貰います。

「こーいー大丈夫なの?」とカンナちゃんが保健室に駆け込んで来た。

「えっ?カンナちゃん……今、授業中でしょ?」驚く私に

「生理痛が辛いから保健室で休ませて下さいって『キンノボ』に言って来た、数学の時間で良かったよ」

「げっ『キンノボ』真っ赤な顔して吃音(どもり)捲ってなかった?

『うっ上杉さん、はっ早く、いっ行きなさい……』って

でもカンナの生理周期を手帳に書き留めてそうで”キモッ”」

飛鳥ちゃんに身も蓋もない言われ方をしている数学教師の金澤登(かなざわのぼる)先生は生徒たちから『キンノボ』と呼ばれている。

四十路を過ぎた独身なのに、肌つやは二十代並みに”ツルツル、ピカピカ”としているから年齢不詳にも見える。

そのため『秘密のエステに通っている』とか

『日々高校生の若いエキスを吸い込んでいる』と妖怪扱いをされているのがちょっと不憫に思えてくる。

『美少女が大好きなんだろうなぁー』と誰もが悟るくらいの態度を見せ付けるから正直な人とも言えなくはない。

感情の起伏が激しく興奮すると”吃音”が酷くなるから、何を言わんとするのか意味不明な時が多々あり

その上エコ贔屓も酷いから生徒たちから異常なほど嫌われている数学教師
……それが『キンノボ』だ。

「まぁーそこは気持ち悪いけどヘマしないから大丈夫……それよりこれ見てよ」

そう言ってスマホで動画を再生し始めたカンナちゃん。

何だろう?とその画像を覗き込んだ私は驚きのあまりに言葉を失った。



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