絶対やせて貰います。
彼女の名前は確か……吉田璃音(よしだりおん)さん。
一度も同じクラスになったことはないから全くと言って良いほど接点のない人。
長身でモデルタイプのカンナちゃんとは違い小柄で可愛らしいタイプの吉田さん
そんな彼女も校内はもちろん他校の生徒にも顔を広く知られた有名人だから名前くらいは知っている。
それに小岩井君を見掛けるとその隣を歩いている彼女の姿も同時に目にしていたから『美男美女の眼福カップル』と勝手に命名して目を楽しませて貰っていた私。
でも目の前に居る吉田さんはいつもと雰囲気が全然違っていて戸惑いを感じる。
私に執拗で這わせるような視線を向けたかと思ったら
「ふっ」と声を出した彼女の嘲笑いの表情は、私を不快な気分にさせるには十分なものだった。
身長は私より少し高いだけな彼女
それなのにスッゴイ上から見下すような態度を取らている。
そんなことをされる謂れに心当たりは微塵もない。
向かい合った彼女の第一声は……
「旭くんに親切にして貰ったからって、それを理由に付き纏うなんてことしないで頂戴ね」
先程の甘ったるい声とは違って低めの威圧的な声
それはそれはとても傲慢なものだった。