絶対やせて貰います。
「あの、飛鳥ちゃんお願いがあるんだけど……」
目を真ん丸にしてカンナちゃんを見ていた飛鳥ちゃんが私に視線を寄こしたところで最初からお願いするつもりだった用件を打ち明けた。
「これ何だけど……小岩井君に渡して欲しいの」
二人に手渡したモノと全く同じ手提げバッグに入ったパウンドケーキを飛鳥ちゃんに差し出す。
「私は構わないけど……自分で渡さなくていいの?」
「うん……吉田さんと約束したし、自己満足のお礼の品だから」笑ってそう言ったら
「分かった、部活の後にでも渡しておく…こいもその方がいいでしょ?」
小岩井君と吉田さんは部活の時間帯が合わないのか、下校時に一緒にいる姿を見たことがないからそう言ったのだと思う。
飛鳥ちゃんはやっぱり気配りの上手な女の子だ、吉田さんがこの件を知ったらまた何を言って来るか分かんないしトラブルは回避するに越したことは無いもの。
「はい、それでお願いします」
これで私と小岩井君の短く儚い縁は途絶えた筈だった……