絶対やせて貰います。


「その後の進展なんてありません……

会話すらした事ないのにどう進展するのよ」

田中先生に弄ばれて思った以上に時間が掛かってしまった。

「カンナちゃん怒ってるかな?」

急いで階段を駆け下り良く前も見ずに廊下に飛び出したら

「うわっ」

驚く声の後に”ドスン”何かにぶつかった衝撃で後ろに倒れそうになるところを長い腕が伸びてきて体勢を戻してくれた。

「前をよく見てませんでした……ごめんなさい。」

申し訳なさに頭を下げて謝る。

「ぶつかったけど、大丈夫だった?」

心配そうな声がして顔をあげると声の主は”小岩井君”だった。

今の衝撃で手から滑り落ちたスケッチブック。

中が下向きの開いた状態で落ちているのを見てギョッとした私は慌てて拾い上げようとするのを小岩井君に先を越されてしまい万事休す。



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