絶対やせて貰います。
「もうーこい遅い!!」
ご立腹のカンナちゃんが私を迎えに来てくれたらしく、それから間を置かずに…
「あさひ何やっての?
おまえ待ちなんだけど?」
小岩井君を呼ぶお友達の声も聞こえてきた。
まだ何か言いたそうな小岩井君だったけど「はぁー」一つため息をついてから
「それじゃ、錦野さん元気でね……」と言ってお友達の所に行ってしまった。
「こい……私が邪魔しちゃったかな?」申し訳なさそうなカンナちゃんの顔を見て慌てて言う。
「私こそ遅くなってごめんね。
急いで階段を駆け下りて廊下で小岩井君にぶつかっただけだよ。
飛鳥ちゃんもそろそろファンから解放して貰ってる筈だから……行こう」
カンナちゃんを心配させないように努めて明るく話し掛ける。
小岩井君の言った「それで……」の続きが何だったのか?
凄く気にはなったけど今更聞ける訳がない。
結局続きを話さなかったぐらいだもの”たいした事ではなかった”そう結論付けた。
お友達に向って「待たせてごめん」と素直に謝る小岩井君の明るい笑顔を心に焼きつける。
『小岩井君を見つめ続けた一年間は単調な学校生活にキラキラと輝く彩りを添えてくれました。
助けてくれた事も感謝しています。
現世と言わず来世でも困った事があったら全力でお助けします。』
心の中で誓った言葉は口にすることは無かったけど、その思いはいつまでも忘れられない気がする。
カンナちゃんと二人で一旦正門を出た私はくるりと180度回転して学校に向かい「お世話になりました」と深々頭を下げてからカンナちゃんと一緒に飛鳥ちゃんの待つ場所へと急いで向かった。