絶対やせて貰います。
彼の本性
「なにか手伝おうか?」
「うん、大丈夫だよ。殆ど準備済んでるし」
『悠斗君やっぱりやさしいなぁー』ニタニタしている私の顔は見られたものでは無い筈だからと顔を思いきり下向きにして黙々と手を動かす。
手持無沙汰なのか、キッチンに回って来た悠斗君が冷蔵庫に前で立ち止まってあるモノを凝視している。
「こいちゃん、この写真だれ?」
冷蔵庫にマグネットで張り付けてあるのは例の「ダメ!ゼッダイ!」の御札以外にないことを思い出して、不意打ちだったけど話す手間が省けて返って良かったかもと思い笑顔で返事する私。
「それは高校3年当時の私の写真……今より20kg重かったの」
「・・・・・」
一緒に笑ってくれると信じていた悠斗君の反応が想像と違っていて怖くなる。
嫌な胸騒ぎがして急いで手を洗い悠斗君の傍に行こうとしたら、悠斗君が漸く口を開き話し出した言葉に胸を突かれた。
「俺、デブって嫌いなんだよね」
「えっ…なんて言ったの?」聞き違いだと思いたかったからそう言ったのに……
「だ・か・ら、俺はデブが嫌いなの、ホント失敗した。あいつ等に奢って損した」
悠斗君がデブを嫌いだってことは分かったけど、失敗とか損したとかの意味までは分からなかった。
「悠斗君……確かに大学1年の頃までは太ってたけど、今の私はデブじゃないでしょ?」
デブだった頃の写真を見せたらかなり驚かれることは予想していた、でも今のように蔑みとも取れる態度を見せられるのは本当に想定外で涙が出そうになる。