絶対やせて貰います。
「店長、以前にも私のように『一身上の都合』で突然辞めた人いませんでしたか?」
これは私の当てずっぽうでしかなかったけど、一度味を占めたら何度でも繰り返しそうな気がしてならなかったから。
「そうだね、心当たりが幾つかあるよ。
それなら錦野さんが辞めるんじゃなくて高橋君に辞めてもらうのはどうだろう?」
店長の言葉に益々顔色が悪くなる悠斗君。
「ありがとうございます…でも仕事の経験値が違いますし、ここの仕事がなくなるのは困るみたいだから
やっぱり私が辞めます。
でも私が抜ける穴はしっかり体で償って貰ってください。
それから…そこの小林さんセクハラするので厳重に監視をお願いします。」
自分は関係ないみたいな顔をしていた小林君も最後の言葉に顔色を失った。
「店長の管理不行き届きで不快な思いをさせて申し訳なかった」店長の近藤さんに頭を下げられこちらが困惑する。
「嫌な事を思い出す店には来たくないかも知れないけど……お客として来てくれたらご馳走するよ」
近藤さんは明るくそう言ってくれたから
「はい、いつか二人が居ない時に遊びに来ます」
私も最後は明るく返事を返して
”初カレ”との付き合いはホント呆気くらい簡単に幕が閉じたのだった。