絶対やせて貰います。
「後藤君とは高1の時に同じクラスだった錦野鯉子だけど覚えてる?さっきはぶつかってごめんなさい。えっーとお久しぶりです」
「えぇーーーうそだろ、錦野?マジか?おまえ半身になったろ?」
後藤君は驚きに目を剥いている。
それにしても『痩せたな』でいいのに半身って……私は三枚おろしの魚ですか?
「錦野はこの店誰と来てるの」驚きから立ち直った後藤君から掛けられた言葉に反射的に
「カンナちゃんと飛鳥ちゃんと一緒に……」バカ正直な返事をしたら、後藤君の目がキラリンと光った気がして冷や汗が背中を伝う。
「俺はここで合コンしてたんだけど……女の子が先に帰ってさ、今むさ苦しい男ばかりになったんだよね。今から合流しない?錦野も知ってる奴らだから高校の同期会ってことで……」
「後藤君の中では決定事項のようだけど、カンナちゃんと飛鳥ちゃんがなんて言うか分からないよ」
「じゃあ、俺が説得してくるから錦野は先に行ってて……そこの通路を右に曲がって1番目のテーブル席だから」
後藤君への返事はカンナちゃんと飛鳥ちゃんに任せることにして「観葉植物が目隠し代わりになっている人目に付きにくい席」と私たちの席を物凄く簡単に説明した。
喜び勇んでカンナちゃんたちの所へ向かう後藤君とは違い、なんでこうなったのか腑に落ちないまま私は後藤君たちのグループを探しに行かなければならなかった。