絶対やせて貰います。

後藤君の説明通りの場所に10名程が座れる席があり、空席も目立つけど楽しそうに会話をしている男女４名が固まって座って居る。

そしてそこから離れた端の方に夢中で食事をしている男性が一人で座って居いた。

盛り上がっているグループの方に入って行くのは気が引けて一人で座って居る男性の斜向かいの席に一先ず腰かける事にした。

言葉をかけるタイミングを計りながら、気持ち良いくらいイイ食べっぷりに見入ってしまう。

『”合コン”という集まりはみんなお酒は飲んでもあまり食べ物を口にしないのかな?』

何故なら注文されただけで箸が付いていなさそうな料理が沢山放置されているのを目にしたから

それらの皿の殆どが食事をしている男性の目の前に寄せられているのを見ていたら……急に心配になってきた。

「そんなに揚げ物ばかり食べないでこっちのサラダも食べた方がいいですよ。

先ずはサラダを食べてから他の物を食べて下さい」

私は挨拶も自己紹介もすっ飛ばしてお節介を焼いてしまう。

それは数年前の自分の姿を見ているような気がしたから……

今初めて私の存在に気付いたような驚いた表情を見せた男性はお節介焼きの私に嫌な顔を見せないどころか

「うん、分かった……ありがとー」にっこりと笑ってお礼を言う。

そして大きなサラダボールからサラダを直接ムシャムシャと食べ始めた。

唖然としながらも初めて会った彼の笑顔に引っ掛かるものがあって彼から目が離せない。

そこにカンナちゃんと飛鳥ちゃんを連れだって後藤君が戻ってきた。