絶対やせて貰います。

「あの……余計なことしてごめんなさい」

この雰囲気の居た堪れなさにお詫びの言葉を口にしてみても小岩井君の方を
見ることは出来なかった。

「なんでこいが謝るの、悪いのはコイツでしょ?」

カンナちゃんが瞬間冷凍されそうな冷たい視線を後藤君に向けている
……後藤君ご愁傷様。

「ハハ…それにしても錦野。凄い迫力だったな……で、
『吉田璃音の件』って何の事?」

ばつが悪い後藤君が若干顔を引き攣らせながら、飛鳥ちゃんがポロリと口にした吉田さんの名前に食付いて来たから面倒だ。

あの日から3年以上の月日が経っているとは言え、カンナちゃんと吉田さんの
約束は有効な筈だから、

さあーどうやって誤魔化そうかと考えながらカンナちゃんと飛鳥ちゃんの顔を窺い見ていたら……

「ところで、小岩井は吉田璃音とまだ付き合ってるの?」

カンナちゃんの思いも寄らない問いかけに答えたのは又しても後藤君だった。

「二人は大学に入って直ぐに別れたよ。

『あさひ君が優し過ぎて私には勿体無い人だから…』ってのが

確か別れた理由だったよな?」

事実確認をするように小岩井君の顔を見ながら話をする後藤君……あなたは小岩井君の代理人ですか?

「はあ?私は小岩井に聞いたのに……なんであんたが返事してんのよ」

ピキーンと青筋が立ってそうな形相のカンナちゃん、後藤君は最早”あんた”呼ばわりです。

「それだったら時効って事で見せてもいいかな?三人だけで見るの勿体無かったし……ふふっ」

うわぁーーー久しぶりに黒い大きな羽が生えてるよ……カンナちゃん。


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