占い嫌い!
堂々めぐり
私は占いが大嫌いだ。最近は手を変え品を変えで、様々な占いがはびこっている。元来占いやらおみくじやらを信じない私は、それらを利用することなど一切無かった。あの日までは…
「この占いね、すごく当たるのよ~!あなたもやってみない?」仕事の昼休み、同僚の子が私に携帯を見せながら楽しそうに話し掛けてきた。「悪いけど私、そういうの信じてないのよ。ごめんね」ちょっと冷い態度だったかな、と思いながらも私は誘いを断った。しかしその子が意外にしつこく誘ってくるので(一度くらい試してみてもいいかな、どんな結果でも信じないことに変わりはないし)と、その占いをやってみることにした。
『射手座のあなた、今日は巨大な猫、しかも子連れの黒猫に気をつけましょう』…なにこれ?私は思わず笑ってしまった。巨大な猫?ファンタジーにも程がある。占いを勧めた子が「おっきな猫に気をつけてね!」と真剣に言うので余計に可笑しくなった。やはり占いなんて馬鹿馬鹿しくて信憑性の無いものだと思った。
その日の帰宅中、買い物を済ませ、両手に荷物を持って歩いている私は、後方からの叫び声で振り返った。「危なーい!避けてくれーっ!」何が何やらわからないうちに私は強い衝撃を受け、気を失った。次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。後から聞いた話だが、宅配業者のトラックが坂道でサイドブレーキを引き忘れ、無人で走り出した先に私が居たらしい。私は青ざめた。その宅配会社のイメージキャラクターは、黒猫の親子で、トラックには巨大な黒猫が描かれているのだ…単なる偶然だろうか?
入院中、暇を持て余している私に、例の同僚がお見舞いを持ってきてくれた。そしてまた、占いを始めた。「今日のあなたの運勢はっと…え~とね、『色とりどりの綺麗なお花に気をつけましょう』だって!ん~…せっかく持ってきたけど、この花束、持って帰るね」彼女はそういうと、花瓶に入れたばかりの花をビニール袋に入れて持って帰ってしまった。元々殺風景な病室は更に寂しい雰囲気になり、私はぐるっと部屋を見回した。洒落たものと言えば、ナースコールボタンの上に掛けてある絵くらいだ。(…ん?この絵…)その絵は、丘一面に広がる花畑の絵だった。
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