マネー・ドール -人生の午後-
ドアがノックされて、お茶を持った聡子さんと、制服姿の杉本が入ってきた。
「おお、こっち座って」
中村は、無理な作り笑顔で、俺の隣に移動して、その場所には、杉本夫婦が座った。
「杉本、本当に申し訳ないことした。この通りだ」
杉本は俯いたまま、俺の方を見ようとはしない。
「……真純は、どうや」
「昨日病院に行って、ケガは大したことない。今朝はだいぶ落ち着いてたよ」
「そうか……」
「でも、よかった。真純さんのケガ、心配してたのよ、ねえ」
聡子さんは、笑ったけど、杉本は、何も言わなかった。いや、言えなかった。
「聡子さん、杉本……これは、俺の気持ちです」
俺は、もう一つの封筒を出した。
「慶太さん、こんなもの、受け取る理由ないですから」
「いえ、でも……本当なら、警察に突き出されてもおかしくないんです。それを……穏便に済ませてもらって……」
「何もなかったんです。私がこう言ってるんだから、それでいいのよ」
「聡子さん……ありがとうございます……」
ことごとく、受け取ってもらえない白い封筒。
いったい、俺は何をしているんだろう。こんな紙切れ、なんの役にも……たたないんだな……
少し沈黙があって、杉本が口を開いた。
「社長……ちょっと、佐倉と話がしたいんやけど……」
「ああ、いいよ。さとちゃん、いいよね?」
「ええ。じゃ、慶太さん、ごゆっくり」
「おお、こっち座って」
中村は、無理な作り笑顔で、俺の隣に移動して、その場所には、杉本夫婦が座った。
「杉本、本当に申し訳ないことした。この通りだ」
杉本は俯いたまま、俺の方を見ようとはしない。
「……真純は、どうや」
「昨日病院に行って、ケガは大したことない。今朝はだいぶ落ち着いてたよ」
「そうか……」
「でも、よかった。真純さんのケガ、心配してたのよ、ねえ」
聡子さんは、笑ったけど、杉本は、何も言わなかった。いや、言えなかった。
「聡子さん、杉本……これは、俺の気持ちです」
俺は、もう一つの封筒を出した。
「慶太さん、こんなもの、受け取る理由ないですから」
「いえ、でも……本当なら、警察に突き出されてもおかしくないんです。それを……穏便に済ませてもらって……」
「何もなかったんです。私がこう言ってるんだから、それでいいのよ」
「聡子さん……ありがとうございます……」
ことごとく、受け取ってもらえない白い封筒。
いったい、俺は何をしているんだろう。こんな紙切れ、なんの役にも……たたないんだな……
少し沈黙があって、杉本が口を開いた。
「社長……ちょっと、佐倉と話がしたいんやけど……」
「ああ、いいよ。さとちゃん、いいよね?」
「ええ。じゃ、慶太さん、ごゆっくり」