マネー・ドール -人生の午後-
 二人を見送り、真純はテーブルを片付け始めたけど、片手だからガチャガチャいうだけで、なかなか進まない。
「俺がやるから」
「うん」
真純はソファに座って、残っていた菓子パンを食べ始めた。
「薬、飲んだ?」
「まだ」
「痛みは?」
「ちょっと痛い」
 水と薬をテーブルに運んで、俺も隣に座る。
「寂しくなくなったの?」
「うん」
 なんだよ……急いで帰って来たのに……
「山内くんも、藤木くんも、いい子だね」
「そうか?」
「来月から、頑張らないと」
「仕事、できそう? 無理しなくていいんだよ」
「家に一人でいると……また寂しくなるから……それに、慶太と一緒にいたいし」
 一緒に……思わずにやけてしまう。
「フルでなくてもいいから、真純のペースで来くれたらいいよ。ちょっと、着替えてくるね」

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