マネー・ドール -人生の午後-
「……そろそろ、行くわ」
時計は九時過ぎ。こんな時間から、仕事なんだ……
「何時から?」
「十時や。涼、行くぞ」
「ああ、そうだ。これ、夜食に食べて」
私は作っておいたおにぎりを渡した。
「わざわざ……ありがとうな」
昔はよく、こうやって夜食作って、工場に持って行ったっけ。あの頃も、忙しかったよね、将吾。私のために、一生懸命、仕事してくれてたね……でもね……
……寂しかったな……しょっちゅう、一人で……
「じゃあ、凛、碧、パパ行くからな。ええ子にしとけよ」
玄関で、碧ちゃんが将吾に抱きついて、つられて凛ちゃんも抱きついて……
不安よね……ママも、パパもいなくなるんだもんね……
「パパ、絶対お迎え来るよね?」
「約束したやろ? ちゃんとええ子にして、おばさんとおじさんの言うこと聞いて、手伝いせないけんで」
「パパ……」
将吾は二人を抱きしめて、ほっぺたにキスをした。
「そしたら、よろしくお願いします。なんかあったら、すぐ連絡くれな」
「ああ。責任もって、あずかるよ。涼くん、ほんとに会社でいいのか? ここにいてもいいんだよ?」
「いえ、大丈夫です。あの、妹たちのこと、よろしくお願いします」
涼くんはぺこって頭を下げた。
その姿に、私は涙が出そうなくらいせつなくて、思わず、涼くんをぎゅって抱きしめた。
「困ったことがあったら、いつでもここにおいでね」
時計は九時過ぎ。こんな時間から、仕事なんだ……
「何時から?」
「十時や。涼、行くぞ」
「ああ、そうだ。これ、夜食に食べて」
私は作っておいたおにぎりを渡した。
「わざわざ……ありがとうな」
昔はよく、こうやって夜食作って、工場に持って行ったっけ。あの頃も、忙しかったよね、将吾。私のために、一生懸命、仕事してくれてたね……でもね……
……寂しかったな……しょっちゅう、一人で……
「じゃあ、凛、碧、パパ行くからな。ええ子にしとけよ」
玄関で、碧ちゃんが将吾に抱きついて、つられて凛ちゃんも抱きついて……
不安よね……ママも、パパもいなくなるんだもんね……
「パパ、絶対お迎え来るよね?」
「約束したやろ? ちゃんとええ子にして、おばさんとおじさんの言うこと聞いて、手伝いせないけんで」
「パパ……」
将吾は二人を抱きしめて、ほっぺたにキスをした。
「そしたら、よろしくお願いします。なんかあったら、すぐ連絡くれな」
「ああ。責任もって、あずかるよ。涼くん、ほんとに会社でいいのか? ここにいてもいいんだよ?」
「いえ、大丈夫です。あの、妹たちのこと、よろしくお願いします」
涼くんはぺこって頭を下げた。
その姿に、私は涙が出そうなくらいせつなくて、思わず、涼くんをぎゅって抱きしめた。
「困ったことがあったら、いつでもここにおいでね」