マネー・ドール -人生の午後-
(6)
年が明けて、リフォームも終わって、サクラコンサルタントオフィスも、新しい門出を迎えた。
気合の入る私たちに、もう一つ、新しい門出!
「まじか、お前!」
慶太の声に、みんなが顔を上げた。
「所長、声が大きいです」
「いや、だって、お前……オンナいたんじゃん!」
「僕は別に、もてないわけじゃありませんから」
わーわー騒ぐ慶太に背中を向けて、山内くんは、私に、ちょっと目配せした。
そう、あれからね、山内くんと、知美さんね……
「真純さんの、おかげです」
「そんなことないよ。でも、よかったね。おめでとう」
こっそり笑う私達に、慶太が……
「あー! またお前ら! コソコソするなって! 山内、お前、早速浮気か!」
「もう、所長、うるさい!」
「だって……仲良くするから……」
山内くんは、事務所の近くに引っ越しをして、そこには、知美さんも。
姉弟、としてじゃなくって、恋人として。ううん、もうすぐ、夫婦になるんだって!
近くなら、何かあってもすぐに戻れるし、私も、力になれるね。
「山内。まあ、おめでとうな」
「ありがとうございます」
「嫁さん、食わせていくんだから、もっと働けよ」
「報酬、よろしくお願いします」
「ふん、稼いできてから言えって」
なんて言ってるけど、嬉しそうね、慶太。
「それと、お前、外回り、いいわ」
「どうしてですか」
「お、お前は、その、暗いんだよ。藤木に行かせるから、お前は中で、しっかりやってくれ。あー、まあ、その、なんだ。すぐ、帰れんだろ、内勤なら」
「所長……ありがとうございます」
優しいんだ、慶太。
こういうところが、一番好きなのかも。
素直じゃなくって、意地っ張りで、でも、ほんとは、とっても優しい。
「相田、そもそもお前がつかえないのが悪い!」
「えっ、ここで僕ですか……そんなぁ、山内さん、勉強、教えてくださいよ……」
「授業料、高いけど、いい?」
みんな、笑ってる。山内くんも、藤木くんも、相田くんも、慶太も、私も。愛想とか、そんなんじゃなくって、心のそこから、本当にね、嬉しいの。
「この度、結婚することになりました。妻は療養中で、看護が必要な身です。ご迷惑をかけることもあると思いますが、よろしくお願いします」
みんなで、微笑んで、拍手して、おめでとうって。
「じゃあ、真純、山内の代わりに俺と、外回りデートしよう!」
もう。慶太ったら。
「デートじゃないでしょ!」
山内くん、幸せそう。
とっても、とっても、幸せそう。
結婚のこと、一番に私に伝えてくれた知美さんも、とっても幸せそうだった。
気合の入る私たちに、もう一つ、新しい門出!
「まじか、お前!」
慶太の声に、みんなが顔を上げた。
「所長、声が大きいです」
「いや、だって、お前……オンナいたんじゃん!」
「僕は別に、もてないわけじゃありませんから」
わーわー騒ぐ慶太に背中を向けて、山内くんは、私に、ちょっと目配せした。
そう、あれからね、山内くんと、知美さんね……
「真純さんの、おかげです」
「そんなことないよ。でも、よかったね。おめでとう」
こっそり笑う私達に、慶太が……
「あー! またお前ら! コソコソするなって! 山内、お前、早速浮気か!」
「もう、所長、うるさい!」
「だって……仲良くするから……」
山内くんは、事務所の近くに引っ越しをして、そこには、知美さんも。
姉弟、としてじゃなくって、恋人として。ううん、もうすぐ、夫婦になるんだって!
近くなら、何かあってもすぐに戻れるし、私も、力になれるね。
「山内。まあ、おめでとうな」
「ありがとうございます」
「嫁さん、食わせていくんだから、もっと働けよ」
「報酬、よろしくお願いします」
「ふん、稼いできてから言えって」
なんて言ってるけど、嬉しそうね、慶太。
「それと、お前、外回り、いいわ」
「どうしてですか」
「お、お前は、その、暗いんだよ。藤木に行かせるから、お前は中で、しっかりやってくれ。あー、まあ、その、なんだ。すぐ、帰れんだろ、内勤なら」
「所長……ありがとうございます」
優しいんだ、慶太。
こういうところが、一番好きなのかも。
素直じゃなくって、意地っ張りで、でも、ほんとは、とっても優しい。
「相田、そもそもお前がつかえないのが悪い!」
「えっ、ここで僕ですか……そんなぁ、山内さん、勉強、教えてくださいよ……」
「授業料、高いけど、いい?」
みんな、笑ってる。山内くんも、藤木くんも、相田くんも、慶太も、私も。愛想とか、そんなんじゃなくって、心のそこから、本当にね、嬉しいの。
「この度、結婚することになりました。妻は療養中で、看護が必要な身です。ご迷惑をかけることもあると思いますが、よろしくお願いします」
みんなで、微笑んで、拍手して、おめでとうって。
「じゃあ、真純、山内の代わりに俺と、外回りデートしよう!」
もう。慶太ったら。
「デートじゃないでしょ!」
山内くん、幸せそう。
とっても、とっても、幸せそう。
結婚のこと、一番に私に伝えてくれた知美さんも、とっても幸せそうだった。