マネー・ドール -人生の午後-
家に帰ると、真純が何か作っていた。新しいレシピの試作らしい。
「美味しい?」
「うん、美味しいよ」
「じゃあ、これで完成ね」
何もなかったように、真純はにっこり笑って、写真を撮って、後片付けを始めた。
「もう一誌、コーナーを持たないかって言われたの」
「料理の?」
「ヘルシー料理。メタボの旦那さん向けのコーナーだって。そんなの気にしたことないし、もう手一杯だし、断っちゃった」
俺の事務所で事務を始めた頃に比べて、なんだか、真純は本当のモデルみたいに綺麗になって、昔、カタログに載ってた頃みたいに、垢抜け度が半端ない。
やっぱり、真純はこうなんだ。セレブで、都会で、やっぱり、それが真純に似合ってる。そのためには、俺もがんばらないとな。それに、俺も真純に似合うダンナじゃないと。
「事務所の仕事、辞めてもいいよ」
「……中途半端よね……迷惑かけてる?」
「そうじゃないよ。真純には、やっぱりあんな地味な仕事より、モデルとかの方が似合ってるからさ」
「そうかな……」
「キラキラして、俺は好きだよ、今の真純のほうが」
褒めたつもりだったけど、真純は、ちょっと寂しい目をして、お風呂に入る、と言った。
時々、そんな目をする。
何が不満なのか、わからない。聞いても、満足してるって。
でも、それはたぶん嘘で、真純はきっと、何か隠してる。何かはわからないけど……俺はまだ、やっぱり真純がわからない。
たぶん、こんな俺が……不満なんだろうな……
ダメだなあ、俺って。真純の気持ち、なんでわかんないんだろう。
「美味しい?」
「うん、美味しいよ」
「じゃあ、これで完成ね」
何もなかったように、真純はにっこり笑って、写真を撮って、後片付けを始めた。
「もう一誌、コーナーを持たないかって言われたの」
「料理の?」
「ヘルシー料理。メタボの旦那さん向けのコーナーだって。そんなの気にしたことないし、もう手一杯だし、断っちゃった」
俺の事務所で事務を始めた頃に比べて、なんだか、真純は本当のモデルみたいに綺麗になって、昔、カタログに載ってた頃みたいに、垢抜け度が半端ない。
やっぱり、真純はこうなんだ。セレブで、都会で、やっぱり、それが真純に似合ってる。そのためには、俺もがんばらないとな。それに、俺も真純に似合うダンナじゃないと。
「事務所の仕事、辞めてもいいよ」
「……中途半端よね……迷惑かけてる?」
「そうじゃないよ。真純には、やっぱりあんな地味な仕事より、モデルとかの方が似合ってるからさ」
「そうかな……」
「キラキラして、俺は好きだよ、今の真純のほうが」
褒めたつもりだったけど、真純は、ちょっと寂しい目をして、お風呂に入る、と言った。
時々、そんな目をする。
何が不満なのか、わからない。聞いても、満足してるって。
でも、それはたぶん嘘で、真純はきっと、何か隠してる。何かはわからないけど……俺はまだ、やっぱり真純がわからない。
たぶん、こんな俺が……不満なんだろうな……
ダメだなあ、俺って。真純の気持ち、なんでわかんないんだろう。