マネー・ドール -人生の午後-
リップを引くと、慶太がキスして、塗りたてのリップが彼の唇に移っちゃった。
「もう! ダメだよ」
「なんかキスしたくなっちゃうね、その色」
笑って、私を抱きしめて、もう一回、ちょっと長いキスをする。
「真純は、俺の自慢なんだ」
「私が?」
「だって、キレイだし、頭もいいし、上品だし。みんなさ、真純のこと、素敵な奥さんだって言うよ」
違う……本当の私は……
「嬉しい」
私は、笑った。ううん、笑ったふりをして、慶太の唇をティッシュで拭って、もう一回、リップをひいた。
「俺達、最高に、いけてるね」
私達は、鏡の中にいる。
鏡の中で、私は、ピンクの唇で、笑っている。
レストランに行くと、杉本家と中村家はもう来ていて、子供達はこぞってバイキングのお料理をお皿いっぱいにしてる。
「おはよう」
テーブルは六人がけだから、私達は、将吾と中村くんのテーブルに、二人で座った。隣のテーブルでは、聡子さんと加奈さんと子供達が賑やかに食事をしている。
「何か、とってこようか?」
なんとなく居づらくて、立ち上がった。
「俺も行くよ」
慶太も立ち上がって、私の腰に手を廻す。
「なんだよ、仲良いなあ」
中村くんが、冷やかすように言って、慶太が羨ましいか? って笑った。
私は、将吾の顔を見たけど、いつものように、彼は優しく、笑ってるだけ。
ちょっと、つまんない……
なんて、また、バカなこと考えてる。
「もう! ダメだよ」
「なんかキスしたくなっちゃうね、その色」
笑って、私を抱きしめて、もう一回、ちょっと長いキスをする。
「真純は、俺の自慢なんだ」
「私が?」
「だって、キレイだし、頭もいいし、上品だし。みんなさ、真純のこと、素敵な奥さんだって言うよ」
違う……本当の私は……
「嬉しい」
私は、笑った。ううん、笑ったふりをして、慶太の唇をティッシュで拭って、もう一回、リップをひいた。
「俺達、最高に、いけてるね」
私達は、鏡の中にいる。
鏡の中で、私は、ピンクの唇で、笑っている。
レストランに行くと、杉本家と中村家はもう来ていて、子供達はこぞってバイキングのお料理をお皿いっぱいにしてる。
「おはよう」
テーブルは六人がけだから、私達は、将吾と中村くんのテーブルに、二人で座った。隣のテーブルでは、聡子さんと加奈さんと子供達が賑やかに食事をしている。
「何か、とってこようか?」
なんとなく居づらくて、立ち上がった。
「俺も行くよ」
慶太も立ち上がって、私の腰に手を廻す。
「なんだよ、仲良いなあ」
中村くんが、冷やかすように言って、慶太が羨ましいか? って笑った。
私は、将吾の顔を見たけど、いつものように、彼は優しく、笑ってるだけ。
ちょっと、つまんない……
なんて、また、バカなこと考えてる。