カ ク レ オ ニ

教室に着くと既にざわついていた。

「なにこれ。超うっさいんだけど」

私は隣の席の田中に聞いた。

「なんかな、今日水上先生休みなんだってよ…!!」

「水上先生が休み…?」

水上先生というのはうちのクラスの担任。休むなんて全くもって全然ない。

「あ…それでざわついてるのね」

「それだけじゃねぇぞ!」

「わかってる。【カクレオニ】でしょ?」

「ど、どうしよう…本当に始まったら…」

「…田中って馬鹿よねー。」

「おい!それ棒読みで言うなよ!!だって怖いじゃん!!」

「はいはい。っていうか考えてみて。【呪唄】が流れてもすぐ始まる訳じゃないし。っていうか流れないでしょ」

「お前のそういうとこ可愛くねー」

「あいにく知ってます」

そんな風に会話をしていると。

「でも、本当に始まったらどうするんだろう……」

そんな不安げな声が隣から聞こえてきた。
顔を上げると、

「由美、林檎…おはよう」

「おはよう、美亜」

「おはよー、美亜は怖くないの?」

なんだこいつら。可愛いな。

「私は平気」

「美亜は本当になるまで信じないタイプだもんね」

由美は林檎に自慢するように言った。

「もし本当に流れても『私が二人を守るよ』」

「頼れるわー…」

「とは言え、私は由美と林檎より足が遅いんだけどね」

「いざとなったら俺が小野さん守るし!」

「はいはいはいはーい」

適当にあしらった。


なんで、こんな会話で終わらせたんだろう。

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