君のとなりで
「ん、これやるよ。」

そういって颯があたしの手のひらになにかを押し込んだ。

開いてみると、あたしの好きなイチゴミルクの飴。

「お前腹減るとなんにも集中できなくなるからな。」

颯は甘い飴なんか普段食べないはずなのに、もしかしてあたしのために買ってくれたのかな?

「ありがとう!」

これは食べずにとっとこう。もったいないんだもん。

学校について下駄箱で靴を履き替えて、教室の前まで来ると颯とはお別れ。クラスが一緒なら良かったのにな…でも今は2年の三学期、三年生は高校最後の年だし、颯と同じクラスに絶対なりたい!

「実結?ボーッとしてんなよ、じゃあまた放課後な。」

それだけ言うとさっさと教室の入り口にいた男の子たちと中に入ってしまった。

あーあ、そっけない。クリスマスでまた少し甘い雰囲気になったかなって思ったらまた幼なじみに戻っちゃったみたい。

いつになったらイベントごとなしでも恋人っぽくなれるのかな?

てゆうかそもそも恋人っぽくってなんなんだ?うーん…よくわからない。恋愛って片想いのときも難しいけど両想いになってからの方が難しいのかも!

席について鞄のなかから教科書を取り出していると疾風君がやって来た。
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