君のとなりで
部活が終わり、時間を確かめるため携帯を開くと新着メールが2件。

一件は実結。

"お腹が痛いから先に帰ります。ごめんね。"

大丈夫なのか?

それと同時に少しほっとする自分がいるのがすげえむかつく。

二件目は同じマンションの二階に住む小学六年生の楯山空。

小学生のくせにすでに携帯を持っている生意気なやつだ。

珍しいな…空は俺が小学生のとき所属していたバスケチームで現在キャプテンをしていてたまに練習メニューとかの相談にはのってるけど…

めったにメールなんてしてこないのに。

不思議に思いながらメールをひらくと

"バスケのシューズ買いたいんだけどどれがいいか選んで。今颯ん家の前で待ってるから。"

は?今?送信されたのは五分ほどまえ。

今日は三月のはじめだからまだまだ寒く、風も冷たい。

部屋で待ってろよな…風邪ひくぞ?

俺は急いで帰った。

エントランスに入り、エレベーターに乗り込む。

エレベーターが開くと目の前に飛び出してきた空。

「おっせえー!寒いよ!」

「部屋で待っとけよ!俺がメールに気づかなかったらどうすんだよ?」

ため息をつきながら部屋のドアを開ける。

「ほら、入れよ。」

「えっ?あ、いや、すぐに終わるし、ここでいい!」

空が首をふる。

「で、シューズだけど俺買ったらすぐにきつくなるからさ、母さんがでかいのかえって言うんだよな。それってどうなの?」

こいつバスケ始めて確かもう五年くらいたってるよな?

「そんなのぴったりなのを買うのがいいに決まってんだろ?」

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