君のとなりで
あれは小学六年生の夏休み、空港で泣きじゃくる実結とそんな実結の頭を撫でる葵。

「あっ、あおくん、ほんとにっ…うぇっ…行っちゃうの?…ひっく…」

「みゅー、泣かないで。俺、絶対に帰ってくるから。」

俺はそんな二人を横目にイライラしていた。

「颯っ!あたし、颯と離れるの寂しいよ!あたしも帰ってくるからね!」

そういって俺の手をにぎるのは茜。

深沢茜と深沢葵。俺たちと同い年で双子のこいつらはマンションの二階に住む深沢さんの孫で親が会社を経営していて忙しいとかでしょっちゅう預けられていた。

実結と屋上で星座を観察してるときに出会った二人とはすぐに仲良くなり、俺と実結と茜と葵の四人で毎日のように遊んでいた。


そして親の転勤でイギリスに行くことになった葵と茜。

イギリスに旅立つ前夜、葵は俺を屋上に呼び出した。
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