君のとなりで
それから一日中、なんとなくソワソワしちゃって、気がついたら放課後。

昂君から渡されたプリントをもってスーパーへ。

んーと、一個200円か…りんご、今が季節じゃないもんな…

結局りんごを3個と颯があたしに買ってきてくれたのと同じゼリーを買い、スーパーを出た。

早く会いたい。

そんな思いが歩くスピードを加速させる。

ちょっと緊張しつつ、颯の家のチャイムを鳴らす。

「はーい、あら、実結ちゃん!なんだか久しぶりね、最近家にあんまり来ないから寂しかったのよ。」

美恵さんが綺麗に微笑む。相変わらずうっとりするような美人さんだ。

「あの、颯が風邪ひいたってきいてお見舞いに来たんです。」

「ありがとう。あのバカ息子、昨日すごく寒いなか屋上でボーッとしてて風邪ひいたのよ。あ、どうぞ上がって!」

あたしは美恵さんに促されるまま、颯の部屋に入った。

久しぶりに入る颯の部屋は前に来たときと全然変わっていない。

殺風景な無駄なものがない部屋。

その部屋のすみにおかれたベッドに颯が寝ている。

眠っているらしく、微かに規則正しい寝息が聞こえる。

あたしはベッドの脇に座って、眠っている颯の顔を眺める。
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