君のとなりで
「よし、じゃあ行こっか!」

遊園地は最寄り駅から電車で三駅のところにある小さい頃よく家族で行った場所だ。

親同士も仲がいい実結ともよく来た。

並んで歩き始めるけどいきなり違和感。

なんで葵と実結が二人で並んで歩いてんの?

あー…だっせ…こんなくだんないやきもちばっか。

「颯、今日は来てくれてありがとうね?」

茜が隣に並ぶ。

うん、と返事もしながら葵と実結が気になって仕方ない。

「今日のみゅー、かわいいね。」

葵が恥ずかしげもなくさらっと実結に言うと実結は顔を赤らめる。

「そっ、そんな!かわいいだなんて!」

なんなんだよ。俺だって思ってんだ。いつもかわいい実結だけど、今日の実結は一段とかわいい。

水色のワンピースにデニムがよく似合う。

久々に見る私服姿に待ち合わせの時から心臓なりっぱなしだっての。

頬を赤く染めて上目使いに見上げられてる葵にかなりイラつく俺。

なんだよ!へらへらしやがって!

「颯?顔怖いよ?葵と実結がそんなに気になるの?」

茜がにやつきながら言う。

「別に!行こーぜ。」

やけになった俺はなぜだか茜の手をつかんで駅のホームに入った。

チラッと実結たちの方を見ると、相変わらず楽しそうに話してる二人。

…あいつがやくわけないか…

こうしてみると葵と実結は本物の恋人同士のようだ。

お互いを思いあってて、幸せそう。

勢いでつかんでしまった茜の手を離そうとすると、ぎゅっと握りかえされる。

「…このまま、繋いでて?」

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