君のとなりで
そしてそっと離されたあおくんの腕。

「あーあ、惨敗だな。二人とも失恋か…」

二人とも?

どういう意味だろう?

「みゅー、颯と別れたら承知しないから。」

あおくんはそう言うと、笑った。

「あ、そうだ。明日空港まできてくれる?」

「もちろんだよ!」

あーちゃんとあおくんは明日イギリスに帰っちゃうのか…

二人が帰ってきて色々あったけど、楽しかったな…

「みゅー、また泣きそうな顔になってるよ?」

ほんとにあたしの涙腺は弱すぎるね。

もっとしっかりしなきゃ。

「みゅーは泣いてるのより笑ってるのが一番かわいいよ。だからいつも笑ってて?俺との約束。」

あおくんの優しい言葉に余計涙が溢れちゃうよ。

「…っ…うん!こう?」

涙をぬぐって、笑った。

「そう、やっぱりみゅーは笑顔が一番だよ。」


そう言うとあおくんはあたしの頭を撫でてくれた。

「じゃあまた明日、今日は来てくれてありがとう。」

部屋の前まで送ってくれたあおくん。

最後まで優しくて、大好きなあおくん。

手をふるとエレベーターに向かってあるきだしたあおくんにあたしは大きな声で言った。

「あおくん!ありがとう!」

するとあおくんはいつもの優しい柔らかい笑顔で笑ってくれた。


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