君のとなりで
あたしの目にとまったのは、保育士についての本。

保育士かぁ…

あたしは小さいころから泣き虫で、幼稚園でも泣いてばかりいた。

そんなとき、いつも優しくだっこしてくれた先生が大好きだったんだ。

小さい子と遊ぶのは好きだし…三年前から空くんの妹の、小梅ちゃんとよく遊んでる。

小梅ちゃんはすっごくかわいくて、心がほんわかなる。

あたしは妹や弟がいないから、そういうのに憧れてたのかも。

ちょっと真剣に考えてみようかな…

さっそくその本を手に取り、読み始めた。

「…ゆ、実結。」

肩を揺さぶられて、顔をあげると、そこには颯。

時計を見ると、もう六時半。

一時間半近く、本を読みふけってたんだ。

「そんなに集中してなに読んでんの?」

颯があたしの手から本を取り上げた。

「保育士?」

「うん、ちょっと考えてみようかなって。」
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