君のとなりで
「あ、そうだ。これあげるよ。二人で行ってきな!」

そう言うと颯の手のなかに何か押し込んだ。

背伸びして見てみると、電車で一時間くらいのところにある花見公園のチケット。

花見公園はその名の通り、季節ごとの花が楽しめる植物公園。

「今はチューリップが満開らしいよ。私はこの日、都合が悪いから。」

颯と顔を見合わせる。

「でも…いいんですか?」

「いいんだよ!デートしてきな!!」

立川さんが颯の背中を叩く。

「「デ、デート!?」」

あたしと颯の声がきれいに重なった。

「そうだよ。遠慮しないで楽しんでおいで。じゃあね。」

そう言うと立川さんはエレベーターに乗ってしまった。

「どうする?」

どうする?って…そりゃあいきたいに決まってる!

「行きたい!…だめ?」


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