君のとなりで
公園に到着すると、けっこう人がたくさんいた。

「わあっ!見て!すごいきれいだよ!」

実結はさっそく花壇の方に走っていく。

そんなに急いでまた転ぶなよ?

「一面チューリップ!いろんな色があるねー!」

嬉しそうに、本当に無邪気に喜ぶ実結。

さっきまで泣いたりしてたくせに喜怒哀楽が激しいやつ。

見てて退屈しない。

「俺、腹減った。」

「下手でも笑わないでね?」

少し木陰になっている木の下に持ってきていたレジャーシートを敷き、並んで座る。

「どーぞ!」

弁当箱のふたを開けると見た目は普通にうまそうだ。

「見た目はいいじゃん。」

「ひどい!味だってだいたいお母さんが作り直してくれたから…あっ!」

言ってしまった!って顔をする。

やっぱりバカだな。

「日菜さんが作ったんだ。どおりでうまそうなわけだ。」

日菜さん、料理得意だからな。

「でも!卵焼きは全部一人で作ったもん!」

そう言って少し焦げた卵焼きを指差す。

俺は卵焼きを口に入れる。

「どう?」

心配そうな表情で聞いてくる実結。

そういう顔されると、なんだかちょっと意地悪したくなるんだよな。

…俺、もしかしてSなのか?

「うん、まずい。」
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