君のとなりで
放課後、いつものように図書室で颯の部活が終わるのを待つ。

最近あたしが読んでいるのは保育についての本。

本気で目指そうかなって思い始めた保育士。

子供は好きだから、自分自身もお母さんになりたい。

できれば三人くらい?

颯との子供だったら最高なんだけどな…ってやだ!

あたしったら妄想しすぎ!

「実結せーんぱいっ!」

後ろから誰かに抱き締められた。

「ひゃっ…!?」

びっくりして思わず立ち上がると、この間の図書委員の時に話しかけてきた一年生の男の子。

あたしの肩に腕をからめている。

「はっ、離してください!」

慌てて腕を振りほどく。

「ははっ、やっぱりかわいいな。なにしてんですか?」

屈託のない笑顔で笑いかける。

「人を待ってるのです…」

なぜか敬語になっちゃうあたし。

「そうなんですかー、もしかして中原颯先輩ですか?」

えっ…なんで知ってるの?

一年生なのに!

もしかしてバスケ部の子?

でもだとしたら部活に出てるはず。

「やっぱり噂、本当なんだ。」

噂…?

なんだろう?
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