君のとなりで
「いや、まだバスケ選手としては低い方だし、後三センチは欲しい。」

ひぇー…さらに三センチも!

「あたしはせめて150㎝になりたい。」

これはほんとに切実な願い。

「まあ、いいじゃん、ちっちゃくても。」

よくないよ!真剣な悩みだって!もしかしてあたしの身長、颯に吸いとられてるんじゃ…

「あ、そうだ。お前、今週の日曜日暇?」

えっ…ええっ!

い、今なんて…!?思わず颯の顔を二度見。

「なに?」

「だっ、だって…」

先週デートしたばっかりなのに、それに今度は颯からのお誘い!?

「…言っとくけど、今回は二人じゃないから。昂が山下に告白したいんだって。」

昂君が早紀ちゃんに!?

早くない?いやいや、全然早くないんだ。

あたしの知るのが遅かっただけか。

「だから山下誘っといて。これで。」

そう言って颯が手渡してきたのは、今人気の恋愛映画。

これ、この前早紀ちゃんと観に行きたいねって話してたやつ!

「このチケット、颯が昂君のために?」

「違う。昂が山下のために。」

ですよね…颯が恋愛映画のチケットなんて買うはずないもん。

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