君のとなりで
だけど実結も俺ももう一年付き合ってるのになんとなく恥ずかしくて周りには言っていない。特に母さんや実結のお母さんの日菜さんにはからかわれるのが目に見えているので絶対言えない。

「みゆって言うのは藤…」

「悪い悪い!待たせたな!」

昂が口を開いた瞬間、バタバタと部室に柴崎が駆け込んできた。

「遅いよせんせー!もう7時だぜ?」

昂が口を尖らす。良かった…柴崎ナイスタイミングだ!

「先生、早く決めましょ?」

早く帰りたいのは玉井も同じようで、テキパキとボードを持ってきた。

実結、家帰ってるよな?さすがに待ってはないだろう。

そんなことを考えながら練習試合の日程とくじで決まった対戦相手の学校のデータを確認して30分くらいで解散。

既に外は真っ暗で今日は結構寒い。そろそろコートとマフラーがいるな…そんなことを思いながら昂と靴箱の前に立った。

「あっ!」

昂が突然声をあげる。そして靴箱の裏を指差しニヤニヤ笑っている。

なんだ?靴箱の裏に回って見てみると、そこには膝をかかえて小さくなった女の子、紛れもなく実結がいた。
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